第4章 ゴースト退治
「大変、このままじゃ火事になっちゃう……!グリムちゃん、ちゃんと狙ってー!ほら今、右にいた!」
「うるせーっ!オレ様に指図するんじゃねーんだゾ!」
「せっかく出来た私の居場所を燃やさないでー!ゴーストに勝ったらツナ缶プレゼントしてあげるからぁ!」
苦し紛れの私の訴えに確証なんて何もないけれど、グリムちゃんの攻撃を一度だけストップさせるだけの効力はもたらしたらしい。
なぬっ……!?と、こちらへ振り返ったグリムちゃんに「それに学園長先生だって、この寮からゴーストを追い払えたら見直してくれるかも」とダメ押しの一言を送る。
もちろん何の根拠もない発言だ。
けれど、このままみすみす寮を火の海にするのも、無抵抗でゴーストに連れて逝かれてしまうことも避けるには、グリムちゃんの力を借りるしかない。
グリムちゃんの夢を利用してしまうことになる罪悪感はあれども、今は目の前の危険を退けることが最優先だった。
嘘も方便として使う私の言葉の真意に気付いていないグリムちゃんは、入学できるかもしれない可能性にさすがに目の色を変える。
「ぐぬぬ、オ、オレ様は天才なんだゾ。こんなヤツら1人でも……」
『いーっひっひっひ!』
「オマエらたくさんいて卑怯だゾ~!」
「グリムちゃん、目を閉じちゃダメよー!ちゃんと見て狙わないと……っ」
指図される厭わしさと入学チャンス――頭の中で天秤にかけているのだろう葛藤を見せるグリムちゃんの耳がぴくぴくと揺れる。
そうこうしている間にも、プルプルと身体を震わせるグリムちゃんの周りを面白おかしそうに漂っては消えてを繰り返すゴーストたち。
怖くて目を開けていられないのだろう、ギュっと瞼を閉じて炎で威嚇するグリムちゃんだけれど、当然ながら視界を閉ざせばそれだけ命中精度が落ちる。
大きく軌道を外した炎がゴーストを焦がすことはなく、代わりにボロボロの寮内がもっと悲惨なことになっていくだけだ。
グリムちゃん自身も、このままだと埒が明かないことはわかっているのだろう。
悔しそうに唸りながら、消えては現れるゴーストに脅かされ、わたわたと前足を上げて慌てふためく彼に「今ならツナ缶もう1缶プレゼントするから!」と声を上げれば、彼の張り続けた意地がついに崩れた。