第4章 ゴースト退治
この世界のことをよく知らないから、魔法を使えるレベルもいまいちピンとこないのが正直なところ。
魔法と縁のない世界を生きてきた私にとっては、グリムちゃんの炎は十分すぎるほど立派な魔法だった。
青い色は綺麗だし、「まるで青行灯みたいねー」と私が言うと「アオアンドン?」とグリムちゃんが首を傾げる。可愛い。
私の故郷のお話に出てくる妖――モンスター的な存在だとざっくり説明すると、ほぇーとお口を開けたグリムちゃんがすぐに得意気な顔付きになって「そいつより絶対オレ様の方がスゲーに決まってるんだゾ」と胸を張った。
青行灯をよくわかっていないのにマウントを取る姿につい和んでしまう。
「でも、どんなに凄くても人に迷惑を掛けたらダメよー」
「そんなのオレ様の知ったこっちゃないんだゾ」
ツーンとした態度で、そっぽを向くグリムちゃん。
生意気な性格の表れを目の当たりにして「あらまあ」と口にしながら、片手を頬に当てて小首を傾ぐ。
まあ、グリムちゃんは人間じゃないから人の倫理観を説いたところでピンとこないのも無理ないのかもしれない。
グリムちゃんは自分の実力に大層自信があるようで、自分をナイトレイブンカレッジに入学させないことは世界にとって重大な損失だと豪語している。
ニンゲンどもはわかってねーんだゾ、と言いながら"やれやれ"みたいに首を振るグリムちゃんにクスリと笑う。
「私も応援してるわー。いつか立派な大魔法士になれるといいわねぇ」
「"いつか"じゃねえ。"すぐ"なんだゾ!」
「あらー。なら、その時は自慢しに来てねー?」
「そんなにこのグリム様の大出世を見たいのか?ふふん、しょうがねぇなあ。なら、トクベツに許してやってもいいんだゾ!」
感謝しろよ!と私に肉球を向け、フン!と得意げに鳴らすグリムちゃん。
そのキュートなお鼻に突然、ぴしゃんっと水が跳ねた。
「に゛ゃッ!?つめてっ!天井から雨漏りしてやがるんだゾ!」
「あらまあ、ホントねー。これじゃあ、床がダメになっちゃう」
古過ぎて屋根や天井に穴が空いているのだろう。
よく見れば、部屋のあちこちから、ひっきりなしに雨粒が滴り落ちてきている。
学園長先生に雨風を凌げる場所を提供してもらえて喜んだものの、これではまるで羊頭狗肉。
せっかく室内にいるのに、ちょっとした小雨に見舞われている気分だ。
