第4章 ゴースト退治
前足を組んで仁王立ちしている、その姿。
リドルくんに嵌められた首輪は、時間が経ったおかげで外れていたらしい。
けれど、偉そうに胸を張る態度とは裏腹に、身体はすっかり雨に打たれている。
黒い毛並みは水を吸ってぺたりと張り付き、お耳もしょんと力なく垂れていた。
心なしか、お耳の青い炎も小さく見える。
小さな身体からは雨粒が絶え間なく滴り落ち、足元にはあっという間に水溜まりができていく光景に、ますます目を瞠った。
「ちょっと外に放り出したくらいで、オレ様が入学を諦めると思ったら大間違いなんだゾ!……って、ふな゛!?なにすんだオマエ!」
「ずぶ濡れじゃない、グリムちゃん!大変、お耳の炎が消えちゃう……っ。ちゃんと拭かないと風邪ひいちゃうわよー」
「オレ様の炎はそう簡単に消えな……げっほ!ごほぉっ!?な、何なんだゾ、この布!メチャクチャ埃臭ぇ!?」
「雑巾にしようかなーって思って用意した、その辺にあった布よー」
「そんなんでオレ様の身体を拭くんじゃねえ!!」
きしゃー!という威嚇の声と共に噴き上がった炎が、グリムちゃんを拭いていた布を黒焦げにしてしまった。
よかれと思ってグリムちゃんを心配したのだけれど、怒らせちゃったみたいねー……。
でも綺麗な布なんてどこにもなかったから堪忍してほしい。
だって、この寮の中にある布なんて、見つかるものはどれもこれも埃まみれだったんだもの。
「でもよかったぁ、心配してたのよー。首輪もちゃんと外れたみたいで、よかったね」
「フン!オマエに心配されるほど、オレ様ヤワじゃないもんね!」
「ふふ」
弱っているどころかピンピンしているグリムちゃんの姿が微笑ましい。
元気そうで何よりねー。
ひとりぼっちでお掃除していた寂しさも相まって、誰かがいてくれる安心感が自然と笑顔にさせてくれた。
「それにしても……こうしてまた戻ってくるなんて、よっぽどこの学園に入りたかったのねー、グリムちゃん。どうして、そこまで入学したいの?」
今はもう無暗に炎で攻撃してくるつもりも、追いはぎする気もないみたいだし、今なら普通にお話が出来そうだと思い、しゃがんだ体勢のまま首を傾げる。
さっきも「入学を諦めない」的なことを言っていたし……グリムちゃんにとって、この学園に在籍することはよっぽどの価値や理由があるのだろう。
