第3章 オンボロ寮
かくして、学園長先生のご好意に甘える形で、件の寮へと向かう。
枯れ木の林を抜けると、寂れた小路の先に一件の建物が見えてきた。
槍の穂先みたいに細く尖った柵の向こう側。
ギィィと枯れた悲鳴のような音を立てて開れた門を超えた先には、荒れた芝生と石畳の道が緩やかな坂を描いて続いている。
そして、石造りの階段の上に佇む、とても古い館。
暗がりにも相当の年季が入っていることが窺える木材で築かれた建物は、急勾配の屋根と尖塔を備えていた。
汚れて変色した外壁は、あちこちに亀裂が走り、蜘蛛たちが巣を張り巡らせている。
今にも窓枠から外れ落ちてしまいそうな窓は、風に吹かれるたびにガタン、ガタンと打ち付けられていて、ガラスが割れていない窓を探す方が難しい。
夜闇に沈むシルエットは、ゴーストハウスと見紛うおどろおどろしさがあった。
少し古いけれど、趣のある建物だと紹介してくれた学園長先生の言葉の意味をここにきて理解した私は「あらー」と言いながら頬に片手を当てる。
「ホントに趣がありますねー。まるでホラー映画の世界に来たみたいだわー」
「そうでしょう、そうでしょう。さあ、中へどうぞ」
「はい。お邪魔しまーす」
私の感想に大層にこやかに頷いた学園長先生に促されるまま、ドアノブを捻って扉を開ける。
瞬間、積もり積もっていたらしい埃がパラパラと頭の上に落ちてきた。
さらに扉を開けた拍子に入り込んだ風で、玄関に充満していたカビや古ぼけた汚れの匂いが鼻腔を突く。
思わず咽てしまって咳き込む私を通り過ぎて、学園長先生はさっさと中に入っていってしまう。
明かりを持っているのは学園長先生なので、置いていかれたら大変だと息を整いきれないまま後に続いた。