第3章 オンボロ寮
「貴方、本当にそこから来たんですか?嘘をついているんじゃないでしょうね?」
「嘘?まさか。嘘なんてついてません」
首を横に振って、きっぱりノーを唱える。
あまりにも話がすり合わないから、ついに学園長先生は、私が虚言壁の持ち主かもしれないと睨んでいるようだった。
疑われる側からすれば悲しくなってしまうけれど、当然といえば当然の疑問でもある。
私の言っていることが何一つとして証明されないのだ。
嘘を吐いていると思われても仕方がない。
だって、私が今まで生きてきた場所の何もかもがここにはなくて、代わりに私が今まで生きてきた世界にはないものがこの世界には溢れている。
そう、それはまるで。
「こうなってくると貴方がなんらかのトラブルで別の惑星……あるいは異世界から招集された可能性が出てきましたね」
「異世界、ですか……?」
学園長先生が挙げた可能性の一つを繰り返して紡ぐ。
非現実的な考察は、けれど、中らずとも遠からずなのかもしれない。
そんな風に自分自身で思うから驚きもあれば、納得できる部分もあって……だけど、やっぱり今一つ信じられなくて。
曖昧な語感で、もう一度「異世界」のワードを繰り返した。
夢だと思っていた何もかもが現実なら、私は本当に異世界にやってきてしまったことになる。
いくら私が能天気で夢見がちとお友達から太鼓判を押されていたとしても、こんな展開や現実を望んだことはないのに……。
それに、帰る方法さえわからない状態で……これから、どうしたらいいのかしらー……。
「貴方、ここへ来るときに持っていたものなどは?」
身分証明書になるようなものを提示しろと言われて、私は眉を下げた。
"まどうしゃ"免許証は?と聞かれて、傾げた首を横に振る。
まずそれが何かもわからない。
名前の響きは"自動車免許証"とよく似ていたけれど、ここは異世界なのだし、やっぱり違うものなのだろう。
それに私は車を運転できる年齢ではない。
かといって学生証だって、今は持ち合わせていなかった。
だって覚えている限り、この世界に来る前は自分の部屋でパジャマを着て就寝していたのだ。
身分証明になるような物を持って寝ている方が珍しいだろう。
加えて、目が覚めたら、いつの間にかこの学園の式典服なるものに着替えていたからパジャマすらなくなってしまった。
