第2章 入学式
「さあ、闇の鏡よ!この者をあるべき場所へ導きたまえ!」
真っ暗闇の向こう側から厳かに声を張った学園長先生の宣告が聞こえてくる。
次に目を開ける時は、きっといつもの部屋に戻っている。
もし目が覚めても、この夢の世界のことを覚えていたら、あの子にも話さなくちゃね。
夢の中で喋る狸みたいな猫に会ったから、今度はキミともお話したいわって。
そうしたら、きっとあの子は「にゃあ」って、欠伸交じりに興味がなさそうな返事をしてくれそう。
そんなことを考えながらうつらうつらしていたけれど、どれだけ待っても棺の蓋は開かない。
……あらー?おかしいわねぇ。
そろそろ瞼越しに光を感じたっておかしくないのに……。
試しに目を開いてみたけれど、暗闇は依然として何の変哲もない沈黙を保っている。
耳を澄ませてみれば、困惑したような学園長先生の息遣いが聞こえてきた。
「ゴ、ゴホン……もう一度。――――闇の鏡よ!この者を……」
きょとんとしていれば、テイク2に突入した。
改めて学園長先生が詠唱を始めるので、私も再び目を閉じる。
まあ、失敗は誰にでもあるものね。
私も、もう一度ちゃんと故郷のことを考えて……、
『どこにもない……』
……え?
低く響いた闇の鏡の声に、思わず閉じていた目を開く。