第2章 入学式
あんなに大暴れをしてしまう程、この学園に入学したいと願っていたグリムちゃん。
行動は問題しかないにしても、私は手違いで入ったんだから、新入生の枠が一人空いたなら入れてあげたらいいのに……。
まあ、そうは問屋が卸さないと言われればそうなのだろう。
余所者の私に口を挟む資格なんてない。
弁えを誤ってはいけなかった。
とはいえ、グリムちゃんの無念を想像すると、やっぱりどうしても後ろ髪を引かれる心地が胸に纏わりつく。
グリムちゃんがつまみ出されていった扉を忍びなく見つめる私を余所に、周囲はやっと騒動が収まったとばかりの空気に包まれていた。
「少々予定外のトラブルはありましたが、入学式はこれにて閉会です。各寮長は新入生をつれて寮へ戻ってください」
グリムちゃんのことはこれで解決したと手をパンパンと叩き払いながら、学園長先生が生徒さんたちに呼びかけた。
多少なりとも被害は出たものの、大怪我をした生徒さんはいないみたいで、よかった。
避難の為に散り散りになっていた生徒さんたちが各寮長さんらしき生徒さんのの呼びかけに応えて、ぞろぞろと集まっていく。
それを眺めていた学園長先生が、ふと。
「……ん?そういえば、ディアソムニア寮、寮長のドラコニアくんの姿が見えないようですが……」
……?でぃあ……なぁに?
聞き馴染みのない横文字ばかりで、全然わからないわー……。
よくわからないけれど、どうやら一人だけ寮長さんがいないらしい。
さっきの騒動でお部屋の外まで避難したのかしらと思ったけれど、どうやら最初からこの入学式にいなかったそうだ。
「アイツがいないのはいつものことだろ?」と言われているから、ひょっとすると所謂"不良"さんなのかもしれない。
「ドラコニアって……まさか"あの"マレウス・ドラコニア?」
「この学校に通ってるってマジだったのかよ」
怖えぇ……と、一人が呟けば、それを待っていたかのように周囲もざわめき始める。
細波があっという間に大波に変わったかのように、鏡の間は不在の寮長さんの話題ですっかり持ち切りになってしまった。