第1章 出会い
暗い闇に閉ざされた意識が浮上していく。
空ろな夢心地が頭に靄を掛けている。
瞼を持ち上げたはずなのに視界が真っ暗に染まっているのも、きっとそのせいなんだとボンヤリ思いながらウトウトとした間延びに身を委ねていた。
ともすれば、このまま安らかに二度寝が出来てしまいそうなくらい、うつらうつらと緩やかな微睡みに苛まれていると、ふと何かを短く引き摺るような音が聞こえてきた。
「――――この音は……?」
「やべえ。そろそろ人がきちまうゾ。早いところ制服を……」
真っ暗闇の向こうから、幼い男の子の声が聞こえる……。
聞き覚えのない声。壁か何かに隔てられているのか、音声の響きは籠っていた。それに、まだ頭がぼうっとしているせいで、何を言っていたのかまで理解出来ない。
どこに男の子がいるのかも見えない。
あらー……それにしても変ねー……?
私、自分の部屋で寝ていたはずなのに。それに家に男の子なんていないはずなのに……?
のろりと首を擡げる違和感。よく考えれば明らかにおかしな点にうっすら気付きつつも、まったりと呆けた今の私では春のあけぼのを迎える心持ちにさえなれなかった。
こんなにも暗いのだから、まだ暁を迎えていないのかもだけど、今何時なのかしらー……?
呑気にあくびを零す私と反対に、どこからか聞こえてくる男の子の声は何やら慌ただしげな様子だった。
ガリガリと何か硬いものを引っ掻くような音が聞こえてくる。
「うーん!!!この蓋、重たいんだゾ。こうなったら……奥の手だ!ふな゛~~~~それっ!」
それっ!という威勢の良い掛け声の後、朦朧と見つめていた暗闇に青々と揺らめく光が差し込んできた。
あらー、綺麗ねー。
何かわからないけれど、夢心地のまま見惚れた光に思わず手を伸ばしたくなった。
が、光に触れた指先にチリリと掠めた鋭い刺激に閉じかけの瞼が瞬時に開く。
"痛い"よりも"熱い"が先立つ痛みに「熱ッ」と悲鳴を上げ、ジンと痛む指先を慌てて胸元に手繰り寄せる。
訳も分からず目を白黒とさせている間にも隙間から這い出てきた細かな光は徐々に横に広がっていき、その量と勢いを徐々に増していく。
尋常でない熱気を帯び、うねりを描くそれは光というよりも炎みたいな……、…………炎っ!?