第2章 入学式
「見ろ!オレ様はつえーんだゾ!」
「はっ!」
「わわわっ!?」
グリムちゃんのやんちゃな性格を表すように暴れ回る青炎。
周りにどれだけ被害が出ようと、辺りに炎を吹き散らかして自分をアピールし続けることをやめないグリムちゃんが続け様に息を吸い込んだ――次の瞬間。
飛んできた光がグリムちゃんが今まさに吐き出したばかりの炎にぶつかり、パァンと音を立てて互いの魔法が弾け飛んだ。
文字通り、目と鼻の先で起きた相殺。
その衝撃を直撃したグリムちゃんが派手に転倒した姿を見て「グリムちゃん!」と、咄嗟に名前を叫んでしまう。
「ボクの目の前でルールを破るとは、大層度胸がおありだね」
独特な言葉遣いでグリムちゃんに語り掛けながら、一人の小柄な生徒さんがグリムちゃんの元へと歩いていく。
両指を掛けてフードを静かに外す――たったそれだけの仕草が妙に目を引いてならないのは、彼の些細な仕草一つに洗練された気品が滲んでいるからだ。
さっきまでフードに隠れてよく見えなかったけれど……ひどく整っていたその顔は、女の子然としたあどけなさを色濃く纏っていた。
その顔立ちと相まって、決して大きいと言えない背丈が織り成す印象が、ますます彼を華奢に見せる。
フードが取れて露わになったのは顔だけではなく、鮮やかな赤い色の髪もそうだ。
グリムちゃんの炎で周囲が青々と光って揺らめく中、赤い毛先が紫色の光沢を帯びている。
赤髪の彼の凛とした立ち姿は、月明かりを宿した花の咲き誇りを連想させた。
その隣へ優雅な足取りで並んだのは、先程グリムちゃんの捕獲を立候補した、メガネの生徒さんだった。
他の生徒さんたちは動く気配を見せないけれど、あの二人は率先してグリムちゃんを捕まえようとしているらしい。