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鏡の世界の×××

第2章 入学式



「クロウリー先生、おまかせください。いたいけな小動物をいたぶって捕獲するという、みなさんが嫌がる役目、この僕が請け負います」

自ら進んで手を挙げたのは、メガネを掛けた男性だった。

グリムちゃんの捕獲に対する言い回しの一つ一つが何だか人聞きが悪いけれど、この非常事態に笑顔で立候補する姿からは、言葉に違わない頼もしさが感じられた。
フードを被っていて顔全体はよく見えないけれど、口元は綺麗な弧が描かれている。

「『さすがアズール氏。内申の点数稼ぎキマシタワー』」
「なあ、誰かオレのケツの火ぃ消してくれてもよくねえ!?」

「みなさん、私の話聞いてます!?」

『学園長』という立場なのに、騒ぎに掻き消されそうになっている存在感を必死に主張する学園長先生。大変ねぇ。

そんな学園長先生に向かって物申したのは、グリムちゃん捕獲に真っ先にやる気がないことを示した男性と同じ人だった。

「狸捕まえるくらいアンタがやりゃいいだろ、センセー」の言葉にすかさず反論したのは学園長先生ではなく、グリムちゃんだ。
辺りを目いっぱい走り回りながらも会話はバッチリ聞こえていたらしく、狸じゃない、という本日何度目かになる主張を離れたところからしてくる。

「偉大なる魔法士になる男・グリムとはオレ様のことだゾー!」
「すごい、狸でも大魔法士さんになれるのねーっ」
「狸じゃねーー!!いい加減にしろよオマエー!」

さすが夢の世界。
人間が魔法士になれるんだから、魔法が使える狸だって偉大な魔法士になれるかもしれない。

無限大の可能性に感動して声を上げると、グリムちゃんは声を裏返してしまうくらいの声量で怒ってきた。

彼を『グリムちゃん』と呼ぶようになっても、それはあくまでも名前を覚えただけだ。
『魔法が使える狸』という認識自体は最初と全く相違なかったせいで中々狸扱いが抜けないでいる。

ごめんねグリムちゃん、つい……。
でも狸じゃないなら、グリムちゃんは何ていう動物なのかしらー?
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