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鏡の世界の×××

第2章 入学式



私のすぐ足元で立ち止まると、四足歩行から二足歩行へと器用に切り替え、前足を組む。
フフンと鼻を鳴らして目いっぱいふんぞり返ってみせるポージングには生意気さと愛嬌が同居していた。

「そこのニンゲンと違ってオレ様は魔法が使えるんだゾ!だから代わりにオレ様を学校に入れろ!」
「それもそうねぇ」

夢とはいえ、やっぱり私は私。
これは魔法使いになる夢ではなくて、現実と変わらない等身大の私が魔法学校に間違えて入学してしまう――という、ドタバタコメディものの夢だったみたい。

せっかくだから自分がどんな魔法が使えるのか楽しみにしてたのだけれど……残念ねえ。
とはいえ、薄々わかっていたことだ。
むしろ"やっぱり"という気持ちの方が大きいくらいだったので、落胆は然程していない。

それに手違いとはいえ新入生として迎えられた魔力なしの私と違って、グリムちゃんは"魔法が使える"という最低限である一点をちゃんとクリアしている。

なら、この空いた一枠はグリムちゃんに譲ってあげたい。
プロセスはともかく、少なくとも私よりこの学校にいられる権利を持っているのは間違いないのだから。

何より「入りたい」って本人――"人"ではないけれど――が言っているもの。

私は間違ってここへ来てしまっただけだけれど、この子は自分の意思でこの学校へ入りたがっているのだから、叶ってほしいわー。

当のグリムちゃんも、もうすっかり入学できる気満々みたいで、とびっきりの魔法を見せてやる!と息巻いている。
張り切る気持ちがお耳の炎の揺れの大きさに表れていて、ご機嫌にヒョコヒョコ揺れるフォーク型の尻尾も相まって可愛らしい。

見てろ!と言いながら、立ったまま身体をぐっと丸めるような姿勢を取ったグリムちゃん。

あらあら、一体何をするのかしらー?と、その行動をのんびり眺めていれば、どこからか「みんな伏せて!」と緊張感を走らせる声が上がった。

……え?
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