第1章 出会い
「そして私は理事長より、この学園を預かる校長。ディア・クロウリーと申します」
ここでようやく仮面の男性の素性を知れた。
ディア・クロウリー校長先生。
なるほどー。校長先生だったのねぇ。格好良いお名前ねー。
世界観が西洋に染まっているから、お名前もそれらしい感じになったのかしらー。
自分が見る夢にしては設定がいつも見る夢よりも格段に作り込まれていて、なんだか不思議な感じだ。
ちなみに「校長先生」と呼ぶと、ここは学園なので「学園長」と呼ぶように訂正された。それもそうねぇ。
いろいろと聞きたいことはあれども、とりあえずさっき学園長先生に説明された中で、一応聞き取れたものの意味がわからなかった単語の一つである『まほうし』をピックアップして、尋ねてみる。
語尾の疑問符も一緒に傾ける心地で首を動かせば、学園長先生は当然のような口振りで話してくれた。
この学園に入学できるのは『闇の鏡』に優秀な魔法士の資質を認められた者のみ。
選ばれし者は、『扉』を使って世界中からこの学園へ呼び寄せられる。
それがこの学校へ入学できる必須条件であり、しきたりでもある――と。
「貴方のところにも『扉』を載せた黒い馬車が迎えにきたはずです」
「言われてみれば……暗い森を通ったような……?」
あと、顔が怖い、黒いお馬さんがいたような……?
それはまるで、夢の中で夢を見ていた感覚に近い。
もうほとんど曖昧にしか思い出せないけれど、たしかに私は馬車に乗っていた。
銀色に輝く満月に照らされた道。
地面を蹴る蹄。
カラカラと回る車の音。
時折いななく馬の声。
宵の色を映した木々と、遠く遠くに聳え立つお城。
馬車に揺られて、お城を目指す――まるで何度もめくったおとぎ話みたいなワンシーンの中にいるみたいに、ものみな煌めく闇に包まれる夢見心地。
心当たりのある私の様子に頷いてから、学園長先生は続けた。
「あの黒き馬車は、闇の扉が選んだ新入生を迎えるためのもの。学園に通じる扉を選ぶ、特別な馬車なのです」
「つまり、私はあの馬車に勝手にここに連れて来られたの……?」
我ながらファンタジーな夢を見ているのねぇ。
ちなみにどうして馬車なのかというと、古来より特別な日のお迎えは馬車と相場が決まっているからだそうだ。なるほどー。
……なるほどー?