第7章 異世界の朝
自分だけズルい!とグリムちゃんが怒ると「そう言うと思っていましたよ」と、私たちの分の紅茶も用意してくれた。
ティーバッグがカップに浸されたままの状態だったけれど、大人げないと言われないための体裁を事前に整える手腕はさすがだった。
お決まりの「私、優しいので」に素直にお礼を言う私と、お茶請けがないことへの苦言を呈するグリムちゃん。
ちなみに学園長先生は今日はストレートの気分だったとのことで「砂糖やミルクが欲しかったら自分たちで用意してくださいね」と言われた。
キッチンルームの棚を漁れば、埃を被った大変年代物のそれらが見つかりそうなのだけれど、今日のところは私たちもストレートで頂くことにする。
記念すべき雑用係の第一日目にお腹を壊すのは避けたいものねー。
「今日のお仕事は学園内の清掃です」
学園長先生が飲んでいる紅茶に比べて、幾分も香りの薄い気がする紅茶を飲みながら仰せつかった、今日のお仕事内容。
晴れて『ナイトレイブンカレッジの雑用係』として任命された私とグリムちゃんが請け負う最初のお仕事は、お掃除だった。
そういえば、昨日はこのオンボロ寮のお掃除をしたことで雑用係としての見込みがあると見初められたんだっけ。
「……といっても学園内は広い。魔法なしで全てを掃除し終えることは無理でしょう」
「お掃除にも魔法を使うんですねー」
「当然です」
ちまちまと手で行うだなんてナンセンス、非効率。そんな響きの「当然です」だった。
といっても、私は魔法が使えないからナンセンスで非効率なやり方しかできないのだけれど。
……ああ、でも、だからこそ魔法なしで綺麗に出来たことを認めてもらえたのかもしれない。だとしたら嬉しいわねぇ。