第7章 異世界の朝
「ですので、本日は正面から図書館までのメインストリートの掃除をお願いします。いいですか、ユウくん」
「はーい、がんばります」
「昨日のような騒ぎを起こさないよう、グリムくんをしっかり見張っていてくださいね」
「もちろんです。任せてください」
のんびりと頷く私を見つめ返す学園長先生。
不自然な沈黙が湛えられた視線は、仮面で表情がわからないのにどこか疑わしげな雰囲気をじっとりと滲ませている。
まるで「本当に大丈夫なんでしょうね?」と聞かれているようでもあった。
とはいえ、実際のところの真意は定かではないので、のほほんと笑い返すしかない。
昨日は状況が状況だったから色々とやむを得ない手段を講じただけで、同じ二の舞はそうそう演じないだろう。
グリムちゃんだって、この学園に滞在できるようになったんだから、きっと前向きに一緒に頑張ってくれるはずだ。
そう思って、隣に座るグリムちゃんを見やると、彼は時折気だるそうに瞬きをしながらジトーっとした眼差しを学園長先生に注いでいた。
とっても、とっても物言いたげな無言を湛えて。
……?あらあら、どうしたのかしらー?
なんだかご機嫌斜めな様子に首を傾げていると、学園長先生に呼ばれる。
「頼みましたよ。昼食は学食で摂ることを許可します。では、しっかり業務に励むように」
「はーい」
わあ、学食だって。
私が通っていた学校では、お弁当が主流だったから学食って、なんだか新鮮。
お昼時が重なったら、この学園の人たちともお話できたりしないかな。
昨日の入学式を見る限りだと、たぶん私と同じ高校生くらいの子たちが揃っているように見えたから、もしも機会があれば是非お話ししてみたい。
魔法がある世界での暮らしや流行についてとか、いろいろと興味があるわー。
それに今日から元の世界に帰るまでの間はここで暮らすのだから、お友達になってくれる子が一人や二人くらいは欲しかった。
仲良くなれたらいいわねー。