第7章 異世界の朝
「さて、そんなわけで本日のお仕事についてお話があります」
白い手袋が嵌った手を叩いて言った学園長先生。
身支度を整えたら談話室に下りてくるようと言い付けると、一度退室していった。
取り残された私は、とりあえず埃と煤汚れだらけの身体を綺麗にするためにシャワー室に向かうことにした。
待っててね、とグリムちゃんに声を掛けると「早くしろよ」と言われる。
せっかくだから一緒に浴びる?とグリムちゃんを抱えてシャワー室に行こうとするけれど、水に濡れるのを大層嫌がって離せと暴れたので、ひとりで入ることにした。残念ねー。
私と同じく彼もその身一つで来ているようなので、身支度らしいものは何もないようだ。
強いて言うなら首に巻いた縞模様のリボンが身支度の一環になるのだろう。
どこもかしこも建付けが悪いので、当然シャワー室もオンボロだ。
タイル張りの床には長年の汚れが染みついていて、壁の一部に使用されている木材が所々朽ちて黒ずんでいる。
天井を見上げれば、古びた配管が剥き出しになっていて、どこからともなくポタポタと水滴が落ちていた。
グリムちゃんも待っているし、ざっと汚れを洗い流す程度で出ないと。
壁に備えられているシャワーのコックを捻る。
……が、なかなか出てこない。
もう少し捻ってみても、シャワーヘッドからチョロチョロと水滴程度の水が滴ってくるだけだ。
「あらー……?」
一度コックを戻して、今度は反対側へ捻ってみるも結果は大して変わらなかった。
相当放置されていた寮だから、水回りの設備も疎かになっていても仕方ない。
けれど、このままでは困るので何とか頑張って水を出してくれないかと、コックを最大まで回してみる。
しばらくすると蛇口から軽く出てくる位の水が出てき始めたので、もうこれで洗うしかないと諦めて、持ち込んだタオルで身体を軽く擦っていく。