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鏡の世界の×××

第7章 異世界の朝



うなじに触れた火の手の鋭い痛み。眠気は一気に吹き飛び、「熱ッ」と、考えるより先に出た悲鳴を上げて飛び起きた。
ジンとした熱い痛みが残るうなじを両手で押さえながら、火の手が上がった背後を振り返る。

「び、びっくりしたぁ……!どうして急に、お部屋に火が……?」
「オマエが起きないのが悪いんだゾ!」
「えっ、喋る狸……じゃない、グリムちゃん?あらー、おはよー。昨日はよく眠れたかしらー?」
「のんきにアイサツしてる場合か!あれを見るんだゾ!」

振り返った先で、お耳から青い炎を揺らめかせる喋る狸――もといグリムちゃんが仁王立ちしていたものだから、なんだか目が覚めたのに夢から夢に渡り歩いた心地だった。

グリムちゃんは、朝の挨拶なんてどうでもいいと断じて、プニプニの肉球を彼方に向ける。
片手で髪を軽く梳くようにしながら、指し示された方を見やった。

所々に穴が空いた跡がある天井近くを、ふよふよと漂う白い影が三つ。

陽の光を浴びながら、一層透き通って見えるゴーストたちが私たちを見下ろして笑っていた。

「……キャーー!ゴーストっ!?な、なんで!?」
「だから言ってるんだゾ!このマヌケーー!!」

ようやく状況を理解して悲鳴を上げた私を間抜けと罵ったグリムちゃんが、いいから早く追い出すゾと私の片腕を引っ張る。

昨日、追い出したはずなのに……どうして戻ってきたのかしらー。

いつでも炎を出せるように警戒しながら、グリムちゃんが私に指示を促してくる。
私も寝惚けている場合じゃないから、ベッドの上に座り込んだままゴーストたちの様子を窺った。

起き抜けに似合わない緊張を肩に募らせながら身構えていたら、比較的一番近くにいたヒョロリとした幽体のゴーストが骨ばった顔を楽しそうに歪める。

『お前たち、今日からここに住むんだって?悪戯しがいがあるってもんよ!ケッケッケ!』

ケケケ、イヒヒ、と笑いながら私たちの周りをグルグルと回るゴーストたち。
白く透けた幽体が通り過ぎた痕として、淡い煙のような白い靄が虚空に音もなく描かれ、消えていく。

まずはどのゴーストから攻撃を仕掛けるべきか。
向こうはどこから襲ってくるのか……。
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