第6章 色気の雫のち・・・秋の嵐
突然ですが、俺・・・いや、わたくし、武内小太郎25歳、
ただいま、人生の岐路に立っております。
「あぁ・・なんか、私、酔っちゃったみたーい」
目の前でふらりとよろける女性は、風見みゆき先生。
つい2週間ほど前に赴任した産休代行の養護教諭だ。
絹のようなストレートのセミロングヘア、丸みを帯びた女性らしい体型、しとやかな喋り方、どことなく色気のある眼差し・・・。
全てが自分の好み。それが今、目の前で予想以上に酔ってしまったとやらでふらりふらりとしている。
彼女いない歴=25年(年齢)。決して女性が嫌いなわけではないが、お付き合いするタイミングというか、機会に恵まれずここまできてしまった。そして、小学校教諭というハードな仕事についてしまったため、更に出会いの機会は激減、今に至る。
このままでは、結婚できないまま生涯を閉じることになってしまう。
しかし、そんな俺の前に現れた女神、それが風見先生だった。
選択しろ、選択しろ・・・俺。
ここで、風見先生をもう一軒店に誘い、あわよくば、深い仲に・・・
そう、それしか、お前が結婚への道を進む方法はない。
既成事実を・・・作ってしまえ・・・。
今日は二学期がはじまったので、栄養会ということで有志での飲み会だった。元々参加する気はなかったのだが、風見先生が参加すると聞いて、急遽参加を決意、今に至るわけだ。
栄養会自体はすでに散会し、他のメンバーは既にいない。
ところが、何故か風見先生は俺の近くにいて、こうしてフラフラとした姿を見せている。
これは・・・明らかに誘っているのではないだろうか?
いや、それは都合よく捉え過ぎか?
でも、嫌がっていないのは確かだ。
だからこそ、だからこそだ。
選択しろ・・・俺!
「風見先生、大丈夫ですか?少し・・・」
ゴクリと息を呑む。
「少し、休んでから、帰りませんか?」
差し伸べた手を風見先生が掴む。俺を見上げる顔が、笑った。
「ありがとうございます・・・武内先生」
その笑みは、なんだか、妖しく、艷やかだった。