第14章 尾行!尾行!のち・・・ありえないキス
ぐいっと手を引かれる。
『天が許しても私が許さないんだから!』
そんなふうに言える自分になりたい・・・。あのときも、私は馬鹿にされたままただ引っ込んでしまった。二階堂愛里沙なら、迷わず教室に怒鳴り込んでいっただろう。
そうか・・・そうなりたい。私も、ちゃんと私でいられるように・・・。
だったら、せめて抗ってみよう。今回は。
たとえ駄目でも、何でも!
「いや!離して!!」
私は無茶苦茶に腕を振って抵抗する。突然の抵抗にびっくりしたのか、手首を捕まえていた手が緩む。その隙に持っていたハンドバックをブンと振り回して、周囲にいる男を牽制した。
「助けて!!」
大声で叫ぶ。
「おいおい・・・騒ぐなよ!」
ただ、多勢に無勢、すぐに私は羽交い締めにされ、口を手で塞がれる。
ちくしょう・・・ちくしょう・・・!
ガリ・・・と思い切り手を噛んでやった。
「痛って!」
慌てて、男が口から手を離すが、羽交い締めは溶けていない。
「助けて!!!!」
口が開いた隙にありったけの声で叫ぶ。だが、またすぐに口を塞がれる。今度は噛まれないように誰かの洋服越しだ。
そして、腹に一発パンチを食らってしまう。
ぐううう・・・。
重苦しい衝撃で思わず前傾になる。
「騒ぐなよ!姉ちゃん・・・・諦めて?な?」
あ・・・諦めるもんか!
なおも私は力のかぎりジタバタした。
「しょうがねえなあ・・・」
男の一人がポケットからバタフライナイフを取り出す。カシャンと柄を回転させ、刃渡り15センチほどの刀身を顕にした。
「ね?お姉さん・・・痛い目見たくないでしょ?」
「うわ!カイくん、悪者みたい」
「うっせーな、お前らだって同罪だってーの!」
キラリと街灯を照り返して光る刀身に私は足がすくんでしまう。目を見開き、身体が動かなくなる。
怖い・・・怖い・・・。
「やっと大人しくなったな」
んじゃ、と、男たちが私の両脇と後ろをしっかり固め、私は引きずられるように歩かされる。
「ホテルでいいか?」
「ああ!そうだな・・・」
「この辺、安いのあったっけ?」
男たちは口々に言う。彼らにとっては日常。私にとっては生涯に一度のこと。
クソ・・・こんなくだらない男たちに・・・。
誰か・・・誰か!
助けて!