第13章 てんしの微笑みのち・・・尾行!尾行!
「風見みゆき!!!あんた!小太郎先生の優しさをなんだと思ってんのよ!ふざけんじゃないわよ!」
店中に響く大声を上げる。当然周囲の人はざわざわとこっちを見る。
突然現れた自分のクラスの生徒に武内先生も唖然だ。
僕は頭を抱える。そうだ、愛里沙は直情径行。自分の好きな人を無下にされて黙っていられるわけがないのだ。
真っ赤な顔をした愛里沙はなおも続ける。
「自分がやったことを棚に上げて、こんなに優しくしてくれている小太郎先生を、言うに事欠いて気持ち悪いですって!
小学生男子に手を出すあんたのほうがよっぽどよ!
恥を知りなさい!」
ビシッと指を指す。
いや、言ってることはかっこいいんだけど、あんたもロリコン会議とか言って武内先生とエッチしようとしてたよね?
風見先生はどんな顔をしているのか・・・。
僕は恐る恐る覗いてみた。
そこにいたのは、神妙にしてるわけでもなく、びっくりしているわけでもなく、落ち込んでいるわけでもない、薄ら笑いを浮かべている一人の妖艶な女性だった。
「愛里沙ちゃん?あなたはまだ知らないだろうけどさ・・・男なんてね、みんなくっだらないことしか考えてないのよ?愛里沙ちゃんも今にわかるわ。『あなたのため』だなんて嘘っぱちもいいところ。」
その目は何故か悲しそうだと僕は思った。なにか、もしかしたら深い事情があるのかもしれない。そう思わせる目だった。多分、武内先生も、なにか感じたのだろう。風見先生に対して何も言えない様子だった。
皆が硬直している中、愛里沙だけは腕を組んで、余裕綽々の表情だ。まったく風見先生に動じていないのは流石というべきか・・・。
「自分がモテないのを棚に上げて、人のせいにするなんて。あんたがたまたまくだらない男にしか会えなかっただけでしょ!?」
ははん!と鼻で笑って見せる。
「だいたいね、『みんな』なんて言ってるようなやつは馬鹿だって相場が決まってるのよ!」
かっこよく啖呵を切るが、「このばーか!」とあっかんベーをするあたりが子どもだ。
「お客様!」
とうとうウェイターが来てしまう。当然だ。土足で机の上に上がって大見得を切っている。ここにいる四人で一番悪いのは誰かと言えば、愛里沙だ。