第13章 てんしの微笑みのち・・・尾行!尾行!
「風見先生・・・紫藤はやれません・・・そして、学校内で、いや、学校外でもああいう真似はやめてください。」
「はい?なんのことでしょう」
「ねえ、秋良・・・小太郎先生、なんか怒ってる?」
愛里沙はなんか嬉しそうだ。まあ、二人の仲が悪いほうが君は嬉しいのか・・・。
いや、問題はそこじゃない。あの様子・・・もしかして・・・
「先生、これから言うことは、誠心誠意、あなたのために言うことです。だから、しっかり聞いてほしい。私、この間、あなたが紫藤にしてたこと、淫行の現場を、見てしまったんです・・・」
しん・・・と風見先生は黙っている。どんな表情をしているか、うかがい知ることは出来ない。
「このことは誰にも言っていません。僕の胸にとどめてあります。だから、お願いです、今ならまだ間に合います。もう、ああいうことは、二度と・・・やめてください・・・」
風見先生には、素晴らしい先生でいてほしいから・・・。
見ると、武内先生が祈るように手を組んで、頭を下げていた。
「先生・・・」
なんだろう、鼻の下伸ばして風見先生に尻尾振ってたように見えたのに。ちゃらんぽらんかもとか思っていたのに・・・、なんかすごく真剣だ。
愛里沙も武内先生の様子を伺い、息を呑んでいる。
ぷっ・・・
神妙な空気が流れる中、吹き出すように笑う人がいた。
当の、風見みゆき先生だった。
「なーんだ・・・見られちゃってたのねぇ・・・」
急に口調が変わる。いや、僕にとってはこっちの口調の方が馴染みがある。いわゆる、本性の方だ。
風見先生が髪をかきあげ、見下ろすように武内先生に目をやる。
「で?何が要求なの?これからホテルでも行く?」
風見先生は、足を組んでそっぽを向き、吐き捨てるように言った。態度悪いな・・・!
「ち・・・違います!勘違いしないでください。このことであなたに何かを要求したりはしません。本当に、ただ・・・あなたが先生を続けられなくなったら・・・」
「そんなの、武内先生には関係ないですよね?私知ってんですよ?あなたが下心丸出しで私につきまとってるの!ほんっと、気持ち悪い!!」
え?これって・・・。
やばいんじゃ・・・。一瞬悪寒が走り、愛里沙の方に目をやったときはすでに遅かった。
愛里沙は机の上に仁王立ちしていた。