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ずっと前から (降谷零/R18)

第2章 君を心配するあまり



* *

一次会が終わり、同僚たちがそれぞれ二次会へ向かったあと。

「さん、このあと二人で飲みに行かない?」

「あー…ごめん。今日はけっこう飲んじゃったし、もう帰るね。」

「いいじゃん。もうちょっとだけ付き合って!」

「ごめんね、ほんとに帰らないといけないから」

笑って断ったけれど、男は引かなかった。

「ねぇ、さんは彼氏いるの?」

「……いるよ。」

「ふーん。まぁでも、ちょっとくらいいいじゃん。会社の飲み会なら彼氏も許してくれるっしょ!」

「いや、そういう問題じゃないから……」

「ほら、行こうよ?ね!」

腕を掴まれて引っ張られた。

「えっ……ちょっと、やめて。離して、本当に帰りたいから!」

振りほどこうとしたけれど、力が強くて全く歯が立たない。

「ほんとにやめて……!」

「いいって、ちょっとだけだから。俺、前からさんのこと気になってたんだ!この機会にもう少し話そうよ。別の部署だとあんまり交流ないからさ。ね?大丈夫だから。」

怖い。酔ってるのかかなり自分勝手になってる!
これでも同じ会社の人だから、大声を出して変質者扱いすることもはばかられる。

周囲には人がいるのに、居酒屋がおおく賑わっている場所のため、誰もこちらを気にしていない。

「お願いだから離して……」

声が震える。目に涙が浮かんだ。

そのときだった。

「――何してる?」

低い声がした。
引っ張る男の手が、ぴたりと止まった。

振り向くと、見慣れた金髪、褐色の肌。

「……れ………とおる…さん?」

その瞬間、心の底から、ほっとした。

「」

普段の穏やかな表情はなかった。


「その手、離してもらえるかな」

静かな声だったけれど、男は一瞬で手を離した。

「……彼氏?」

「そう、だよ。」

透さんは庇うように私の前に立った。

「嫌がってるの、分からない?」

「いや、俺は別に……」

「別に、何?」

透さんの目が細くなる。

男は何も言えなくなり、やがて

「彼氏が迎えにくるなら言ってよ……じゃあ、また会社で…」

と小さく呟いて去っていった。
零はその背中をしばらく見ていた。
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