第6章 温泉旅行 ※
約束した温泉旅行まで、かつてないほど零くんからの連絡が少なかった。
深夜に会いにきてくれるけど、会話もそこそこに抱き合ったら眠ってしまう。
かなり無理をしてるのがわかる。
休むために、仕事は前倒しで片付けていってるんだと思う。
「ごめんね…無理させて……」
横ですやすや眠る零くんの手を取り、自分の頬に当て、お出かけしたい!なんて言ったことを後悔しながらぽつりと零した。
きっと今までどこにも行けなかったことを悪かったと思って計画してくれたんだと思う。
こんなに忙しい人に……
* * *
ついに旅行の日になった。
車に乗り込むとき、
「零くん、ずっと忙しくて疲れてるよね?私が運転しようか?」
「いや、それはいい。」
「待って?ペーパーじゃないよ。さすがにペーパーならこんなこと言わないからね?」
「これはオートマじゃないが、の免許は……」
「ごめん無理だった。」
「ははっ。気持ちだけもらっておくよ。気を遣わせてすまない。
それにこれはデートだから、は僕に甘えてくれ。」
「できもしない提案しちゃってごめん。私にできることがあったら言ってね?」
「あぁ。ありがとう。」
車を走らせてしばらくし、
「ところで、私も旅行代払うからあとで教えて?」
「いや、それもいい。」
「えっ、でも……」
「は僕に甘えてって言ったところだろ?」
「うん…なんか色々ありがとう。」
「あ。じゃあ、旅行中に、に頼み事をする権利を3つほど僕にくれないか?」
「ふふっ、いいよー。何でも頼んで!むしろ3つでいいの?もっと頼っていいんだよ?」
「あぁ、十分だよ。助かる。」
「うん。私こそありがとう。」