第4章 見てはいけないもの
零くんが眉間を押さえる。
「を見て、腕を振りほどいたら、確実に何かあるとバレるから」
「うんうん、そうだよね。
一応確認だけど、私ってまさかアレじゃないよね?ほら、大人の関係的な?」
「当たり前だろ。は僕の恋人で、セフレじゃない。」
「あ、せっかく言葉濁したのに。」
「濁す必要もないだろ。違うんだから。」
「私、たぶん、自分が彼女のはずなのに……普通のデートもしたことなくて、
腕を組んだり、手を繋いで道を歩いたこともなくて……」
「零くんと梓さんが、ちゃんとふつうのカップルだったから……なんだか、そういうのに気付いちゃって」
「悲しくなった……の、かも」
ついに零くんが固まった。
自分が何をしてきたのか、今になって、まざまざと思い知らされたようだった。
「ごめん、その通りだな……」
「……ふふっ」
急に零くんが笑った。
「ん?待って、笑うとこあった?真剣な話だけど?」
「……ごめん」
口元を押さえている。
けれど、隠しきれないほど嬉しそうだ。
「たまらなく嬉しくて」
「ごめん、さっぱりわかんない。なにが?」
「だって……」
零くんが私のことをじっと見た。
「は、自分の時間を大切にするタイプだろ?」
「……うん?そうかな、わかんないけどそうかも。」
「僕がいない時間も、自分の世界を生きている。自立していて、我がままを言うこともほとんどない」
少しだけ寂しそうに笑う。
「気持ちはいつも伝えてくれるから、愛されていないと思ったことはないし、いつもこちらの都合に合わせてくれるから、ないがしろにされているとも感じたことはない」
「…………」
「なのに」
零くんは困ったように笑う。
「僕ばっかり嫉妬して、必死になって追いかけ続けている気がしていた」
「だから……のそういう気持ちを初めて聞けて……
ちゃんとの中に僕がいることが、どうしようもなく嬉しい。」
にやけた笑顔から、少しずつ真剣なものに変わり、最後には切なそうに笑った。
そして、そっと手を伸ばし、私の頬を撫でた。
「、ありがとう」