第4章 見てはいけないもの
零くんは、少しだけ優しい顔になって、触れようとした私の手を取り、自分の頬に触れさせた。
胸がぎゅうっとして温かさがじわっと広がるような感覚になった。
「……愛おしいって、こういう気持ちなんだね……あなたに会うまで知らなかったよ。こういう感情」
零くんが嬉しそうに笑って、
頬に触れる私の手を、今度は唇に持っていき、指にキスをした。
「……。どうしていいか分からない。」
「なに、が…?」
「怖いんだ。に誤解されているんじゃないかと思うと、不安でたまらない。お願いだから、僕を捨てないでくれ……」
「……ふふっ。ほんとずるいんだから。」
零くんから溢れ出る色気に加えて、あなたの心の不安定さに弱い私の性格を、よく分かってる。
「そう言われると、断れないよ。」
*
部屋に入り、キッチンへ向かった。
「とりあえず、コーヒーでも……」
「僕が淹れるから、は座っていてくれ」
「でも……」
「水だけ先に飲んで」
有無を言わせない口調。
差し出されたグラスを受け取った。
「……ありがとう」
心臓が飛び出すほどびっくりしたおかげで、もうそんなに酔ってはないけど。
零くんは慣れた手つきでキッチンに立った。
私はソファに座って言われたとおりお水を飲み、久しぶりにスマホをみた。
「……わっ!」
画面を見て、目を丸くする。
不在着信、留守電、メッセージがたくさん。
いつからスマホ見てなかったっけ…?
「……どれだけ焦ってたの……」
今さらながら胸が痛くなる。
留守番電話を再生する。
『どこにいるんだ。連絡してくれ。何かあったのか?』
『、嫌なら返事しなくてもいいから、既読だけでもつけてくれ。心配なんだ』
『今から家に行くから。話を聞いてほしい』
耳元から聞こえてくる彼の声を聞いていると、
「……零くんの声、好きだなぁ……」
ぽつりと零した。
匂いも好きだけど、声も好き。
耳元で聞く零くんの声は胸がぎゅっとなる。