第4章 見てはいけないもの
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気がつけば、夜十一時。
「そろそろ帰ろっか〜」
「えー帰りたくない!詩織ともっと一緒にいたいー!めっちゃ好き!泊まりにきて飲もう!!」
「あはは!ほんとは飲むと陽気になるねー!でもそれは彼氏に言ってあげなー?」
うっ…!やめてまた記憶がっ!!飲んだって忘れやしない。
詩織に軽くあしらわれ、帰ることにした。
「じゃあ、またねー!」
「うん。また行こうね!気をつけて帰って。」
「それはの方だよ〜!いつもより飲んでるから、変な人に絡まれないようにね!」
手を振って、それぞれの駅へ向かった。
楽しかったような。悲しかったような。
いろんな感情が混ざって、もう自分でもよく分からない。
「はははっ…飲んだって意味なし、かぁ。」
ぽつりと零した。
最寄り駅からマンションまでは、ほんの数分。
いつもなら大嫌いな暗い道が、今日は妙に落ち着いた。
何も考えずに歩けるから。
もう少しでマンションに着くところで、
「――!」
「ううっ……!」
突然、腕を掴まれ、悲鳴を上げそうになった。
心臓が激しく鳴る。
身体が震える。
膝から力が抜けそう。
「すまない! 驚かせた!」
聞き慣れた声がした。
「……はぁ、はぁ……零、くん……びっくり…した……おどろかせないで……心臓が止まるかと……」
「悪い、急に掴んだりして…大丈夫か?」
どうにか心臓を落ち着かせた。
「何度も電話したんだぞ」
その顔には、明らかな焦りが浮かんでいた。
「連絡がつかないから心配した。部屋に行ってもまだ帰ってないようだったし……こんな時間までどこにいたんだ?」
次々と質問が飛んでくる。
やっと見つけたことに安堵しているのが分かった。
「え……あ、ごめん。友達と飲んでて、全然スマホ見てなかった。連絡くれてたんだね。今日来ると思わなくて……はははっ」
自分でも苦しい言い訳だと思った。
いつもなら、帰りが遅くなるときは連絡している。
零くんが突然来るのはいつものことだから。
零くんが眉を寄せた。
「……かなり飲んだのか?」
――私の勝手でしょ!
いちいちうるさく言わないで!
放っておいてよ!
なんでそうやって何でも干渉するの!?