第12章 それで十分 ※
3駅先で降り、尾行確認ってどうするのか知らないけど、できる限り人の波から外れてゆっくりと改札に向かい、自分のあとに人が減るようにしてから周囲に意識をむけた。うん、わからない。
そして改札を出る前の自販機でゆっくり飲み物を選ぶふりをして、私が買い終わるのを待つ人間がいないかキョロキョロせずに探してみた。うん、さっぱりわからない。
そんなスキル持ってないよ!!!
もう尾行確認はしたってことにして、改札を出て、指示どおりに駅下のコンビニに入った。
扉の前から少し離れて、外からは見えないであろう位置に立つ。
誰か入ってこないか意識したけど、カップルと、子連れの母親、高校生くらいで、少しほっとした。
そのとき、スマホにメッセージが届いた。
『コンビニを出て左。会っても喋るな。』
ほぉー…?というと?わたしに何かついてる!?
尾行じゃなく発信機や盗聴器!?
でも触ってないよ?
あっ!呼び止められたときに肩を…!
コンビニから出て、車を探しながら、そぉーっと触られた肩を見た。
……なにか、ついてる。
“きゃっ!何これ虫!?”とか言って払ってみる?
いや、やめよう。余計なことはせず、零に任せよう。
零の車を見つけて近付くと、私に気付き、車から降りてきた。
無言で側に寄り、自分の肩の何かを指差す。
零も無言で頷き、肩から何かを取って破壊した。
そのあとも指を口に当てる動作をした。まだ声を出すなということだろう。
次は私のバッグを指差した。
確認しろということだろう。
バッグの外側には何もない。
でも内側のすぐ手前に、何かが貼ってある?
え?いつ貼った!?スパイか!?
零に合図すると、ペリッと剥がしてバキッと二つに折った。
そこでようやく、零が声を発した。
「怖い思いをさせてすまない。帰ろう。」
「うん。ありがとう。」
零はすでに分かっていたんだろうけど、私の中ではついに淳くんがやばい奴だと認定された。