第12章 それで十分 ※
「……。」
「!!?」
自分が何を言ったのか理解した。
無意識に口から出てしまったことばが、思っていたものと違う方向で、自分でもびっくりした。
「ち、ちがう!今のは!間違い!間違えた!!勝手に口から出てきた…!!」
待てを解いてって言われたのに何でそうなった!そこはヨシでしょ!!
なんで自らいくスタイルにした!
いつもの如く、いい雰囲気をぶち壊してる。
零は予想してなかった返事をきかされて少しきょとんとしたあと、慌てふためく私の様子を見て、くすくすと笑った。
「まさか、そんなこと言われるとは思わなかったな。」
「うぅっ…零の色気にあてられて意味わかんないこと言っちゃった…。レベルの差がありすぎて大惨事になる。」
「ふっ。困らせて悪かった。」
そう言いながらもまだ楽しそうに零が笑っている。
くっ…!こんなはずでは……!
もう半ばやけくそだった。
覚悟を決めて、真剣にじっと零を見つめて言った。
「零。」
「ん、なに?」
「……抱いていい?」
「いいよ。」
優しい顔で嬉しそうにはっきりとそう言われると、一瞬で顔を背けて手で顔を隠した。
くっ…!やっぱり無理だ!!
色気が…!倒れそう!!
決めた覚悟が行方不明になり、早くも心が折れた。
私の反応を見て、また零は笑う。
「ごめん、私には修行が足りなかった……
対抗しようとしたのが浅はかだった。」
「くくくっ、最高だな。」
笑わないで……いま心が折れてるからね?
と思ったけど、これはさすがに自分でも笑いそう。