第12章 それで十分 ※
ききたいことは、いろいろあった。
でも、やっと帰ってきてくれた零に会えて、全てがどうでもいいことのように思えた。
零はすぐにシャワーを浴びにいった。
怪我だらけでしみないのか、しみたところで我慢するんだろう。
私が怪我をしたときは「ぎゃーーーしみる!いたいぃっ!」と1人で騒いでいた過去を思い出す。
比較する対象が私というのもおかしいけれど、その忍耐力に、あらためてすごい人なんだと痛感した。
怪我は、すでに病院で治療をうけたらしく、あとは毎日化膿止めを塗ってガーゼを変えるだけだというので、貼り替えを手伝った。
「なんか情け無いな、こんなにボロボロで。」
と、零は笑って言った。
「情け、無い…? むしろこんなになるまで……必死にがんばった零が、私は、すごく………どんな立場だって話だけど…!誇らしい…!!世界一かっこいい……っ!!!」
また目に涙が浮かんでうつむいてしまった。
零の手がのびてきて、うつむいた私の頬を優しく撫で、すこし上をむかせてると、
真っ直ぐに私を見つめる零の綺麗な青い瞳と目が合う。
なんて、切ない目をしているんだろう……
「・・・。
君に褒めてもらえることが、きっと世界中からの賞賛よりも、僕にとってずっと価値がある。ありがとう。
僕のことで、に誇ってもらえることが、幸せでたまらないよ。」
「零……っ。こわかった……!
もう二度と、会えないんじゃないかって、不安で……何もできない自分が無力で……生きていてくれて、よかった…。」
涙を堪えきれず、そう伝えながらまたポロポロと溢れ出てしまった。
「に、『自分が生き残れる道をあきらめないで』と言われたのを思い出した…。咄嗟の判断で、大事には至らなかったよ。のおかげだ。」
零は指で私の涙を拭いながら、
いつも私のことを安心させてくれる柔らかな笑顔でそう言った。