第12章 それで十分 ※
探偵事務所を後にし、スーパーで食材を買って家に帰った。
零は何時に帰るのかわからないけど、適当に作り置きのおかずを用意していく。
ちょこちょこ味見しているうちにお腹いっぱいになって、けっきょくまともな夕食をとらずにテレビでニュースを見ることにした。
コナンくんが言っていた、爆発や銃撃事件について放送されていないかと思ったけど、この米花町はあちこちで事件が発生していて、どれがそれだかわからず、早々にあきらめた。
そういえば、コナンくんからは淳くんを警戒するように言われたけど、何を感じ取ったんだろう。
私には気さくな大学生としか思えなかった。
コナンくんも洞察力がすごいな……
爆発や銃撃事件に公安がかかわっているタイミングで、淳くんはポアロにバイトで入った……。
そういえば淳くんはなぜか私に安室さんはどんな人なのかを聞いてきた。
そういうの、バイト仲間の梓さんにきくよね。
まさか安室さんが身バレして、公安狙いで近付いてる?
だとしたら、私に接触したのは付き合ってることを知っていたから?
でも知っていたのに婚約者ときいて、顔に出るほど反応したのはなんで?
んー、さっぱりわからない。
そもそも“身バレ”も間違ってるかも知れない。
公安関係なく、安室透そのものになにか恨みがある、とか……?
恨まれるようには見えないけど、逆恨みならあるのかな。
―― ガチャ
鍵の開く音が聞こえた。
あわてて玄関へ駆け寄ると、
スーツを着た零が申し訳なさそうに笑っていた。
頭や顔に傷がある。
もしかして爆発に…?
それであれば、きっと体も傷だらけなんだろう。
「……おかえり…」
笑って出迎えたかったのに、零を見た瞬間、胸が苦しくなって泣きそうになった。
「あぁ、ただいま」
私の泣きそうな顔を見てか、零は“大丈夫”というように優しく微笑んだ。
泣いたつもりもなかったのに、ポタポタと勢いよく大粒の涙が溢れてどんどん頬を伝って落ちていく。
「…心配させたな。」
「……よかった…帰ってきてくれて、無事でいてくれてありがとう……」
「あぁ、約束したから。」
そう言って、抱きしめてくれた。
怪我が痛いのだろう。抱きしめる力は、とても弱々しかった。