第9章 記憶
*
零くんはベッドの上で私を抱きしめながら髪や頬をずっと撫でている。
まぁ、これはわりといつも通りだけど。
「どうしたの?今日の零くん、いつもと違う。」
「……やさしくしたい気分だったんだ。」
「それだけ……?」
「いつもの方がよかったか?」
「そっ、そういうわけじゃないけど、様子が違うから心配だよ……。」
「どっちが好きだった?」
「えぇ!?ちょ、ちょっと!変なこと聞かないで!?」
「聞かないとわからないだろ?僕もこんなにやさしく抱くのははじめてなんだから。」
「えっ、う、うん……どっちでもいい、かな? でも、零くんはいつもの方が楽しそう、に見える、かな?」
「ふーん?」
なにふーんって!!
「――――」
今日はえらく名前を呼ばれる。
最中もずっと呼ばれていた。
情緒不安定?最近何かあったっけ。
あれ?そもそも何があったっけ。
「なに?」
「…………記憶がなかったときのことは、覚えてないのか?」
「―――― え?」
どういう意味?
あ、そうだ、私そういえば今日何してたっけ。なんで寝てたのか覚えてないし、怪我もどこで…?えっと……あれは、夢?
「――っ!ごめん!無理に思い出さなくていい!!」
「……零くん、私、何でこんな時間に、寝てた、の? さっき… 夢をみてたような、零くんと話してて、何の話してた…?零くんがふざけてるのに全然、笑ってなくて……なんか、怒ってて……違う、泣いてた……?」
「、先にいま覚えてることを教えてくれ。記憶がなかったときのことを思い出すのはあとでいい。」
「覚えてること…?私、なにか忘れてるの……?」
「僕たちは、いつ、どこで知り合った?どこで再会した?」
「え?私が大学生のとき合コンで、そのあと公園でふられて……ポアロで零くんが働いててそこで再会したんだよね…?」
「あぁ、そうだ…。合ってるよ。、君はアメリカで爆発に巻きこまれて怪我をした。それは覚えてるか?」