第9章 記憶
「え…?降谷さん……?」
そう言われて、自分が泣いていることに気付いた。
「あぁ、悪い。」
「……ずっと、心配してくれてたって聞いた。ありがとう。」
そう言って、は僕の頭を包み込むように抱きしめた。
「……!……っ!」
「私が悲しませてるのは分かってる。けど、降谷さんが悲しむところを見たくない……」
「…。無理、しないでくれ。」
「無理なんかしてないよ。抱きしめてあげたいと思っただけ。嫌だった…?」
「……っ。そんなはず、ないだろっ。」
力一杯を抱きしめかえした。
いつも、あんまりキツく抱きしめるから、『怪力』って笑われていたな……
「…っ。本当に、生きていてくてよかった……
爆発の後、連絡がつかなくて、何もできなくて、やっと電話が繋がったと思ったら意識がないってきいて、目の前が真っ暗になったんだ。」
「うん…心配させてごめんね。」
「あのとき、すぐ帰国するように言えばよかった。
怖い思いをさせてごめん。
傍にいてあげられなくてごめん。
すぐに迎えに行ってあげられなくてごめん。
自分が……情けない!」
「……謝らないで。あなたは何も悪くない。」
「違う…!僕が……判断を、間違えたんだ。」
「大丈夫、生きてるよ。忘れちゃったけどね。でも、母が言ってたみたいにふわっと思い出すかも知れないから。」
「……ふっ。記憶がなくてもやっぱり本質はのままなんだな。」
そう言って、顔をの首筋に近付けた。何もするつもりはないけれど、隙間がないくらい身体を密着させたかった。