第9章 記憶
「う、うん。分かった。えっと、いろいろ教えて欲しいんだけど、それはいいかな?」
「あぁ、もちろん。」
「えっと、私たちはどこで知り合ったの?さっき、7年の片想いって言ってたけど…。」
「……7年前、合コンで知り合ったんだ。」
「え? それ…で…?」
「それだけ。で、久しぶりに会ったのが数ヶ月前。偶然、喫茶店でね。」
「へ…へぇ……?」
話は端折ったが嘘はついてない。
今はまだ、どこまで伝えるべきか判断できない。
「えっと…降谷さんは何で私と付き合ってるの?」
「ん?どういうこと?」
「もしかして、私がしつこくお願いして付き合ってもらった…とか?」
「ふふっ。なんでそうなる?気持ちを伝えたのは僕からだし、きっと僕の方がのことを好きだった。それで困らせてばかりいた。」
「えっ。なんだか意外。降谷さんモテそうなのに何で私を選んでくれたのかなって。」
「そんなことはないよ。が誰かに好意を持たれるたびに僕は嫉妬してた。」
―――つらい。
であることに変わりはないのに、記憶がないことが、こんなにも辛いのか?
が、この世界のどこにもいないような気さえした。
まるで、もういない人を懐かしんで話すような気分になる……。