第9章 記憶
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「あの、降谷さん…。ここ本当に私が一人暮らししてるマンションですか?一人にしては広すぎる気が……」
「はは。僕も最初びっくりしたよ。のお父さんが賃貸用に買った部屋にが住んでる。」
からその話を聞く前は、男と同棲していた部屋にそのまま住んでるんじゃないかと疑ったことは黙っておこう。
はひと通りドアを開けて部屋を見ていく。
使っている部屋はベッドルームの1つだけで、あとの2部屋は何もない。
「、少し休もう。疲れてるだろ?ミルクティーでも飲むか?」
「すみません。ありがとうございます。ミルクティー好きです。」
「あぁ、知ってるよ。」
「あ…ごめんなさい。」
温かいミルクティーを淹れ、とソファに座った。
「。二つ、お願いがあるんだ。」
「なんでしょうか…?」
「一つ目は、なるべく敬語をやめてほしい。気をつかうかも知れないが、いつも通りに過ごした方が記憶も戻りやすいなら気楽に喋ってもらいたいんだ。」
「あ、そっか…。わかった。そうするね。」
は、すこし恥ずかしそうににこっと笑った。
―――― 戻ってきてくれ。
「二つ目は、記憶がなくてわからないことを、申し訳ないと思わないで欲しい。覚えてないことは分かってるから、謝る必要はないよ。」
「……うん。気を遣ってくれてありがとう。」
「あと、これはお願いじゃなくて伝えておきたいことなんだが……」
「うん、なに?」
「さっき伝えた通り、記憶がなくなる前のは、僕と付き合っていた…。けど、今のにとって僕は全く知らない人だ。だから、僕のことは今は恋人と思わなくてもいい。友人か兄くらいの気持ちでいてくれ。当たり前だけど、何もしないから安心してほしい。」