第9章 記憶
*
空港で待っていると、と、ご両親らしき二人が降りてきた。
「はじめまして。降谷零です。」
「の父だ。わざわざすまないね。」
「いえ。こちらこそありがとうございました。」
の顔に目を向けた。
ご両親も、何か思い出すのではないか期待した様子でをみたが、そのような素振りはなかった。
「……あの…すみません、こちらの方は?」
完全に他人扱いで、母親にも他人行儀に質問した。
「、あなたの恋人よ。お母さんも会うのは今日がはじめてだけど、あなたが7年も想い続けていた相手なのよ?」
「えっ……?」
《初めまして。降谷零……これがあなたの恋人です》の状況に驚かないはずもなく。
どう反応していいのかわからないようだ。
「さん。初めまして。いまは恋人というのは気にしなくても大丈夫です。困ったことがあれば気軽に相談してくださいね。」
を不安にさせないよう、安室透になって柔らかくにっこりと笑った。
「はい…ありがとうございます。」
「今日は、ご実家にお送りしますか?」
と、の父親に確認したところ少し心配そうに
「それなんだが、記憶は普段どおりに生活する方が戻りやすいらしい。家には長年住んでいなかったからなぁ。心配だが、生活面の記憶には問題がないし、が住んでいるマンションに送ってやってくれないか?」
「えっ、さんは一人暮らしですよね?よろしいのですか?」
「……? すでに君と住んでいると上の娘から聞いたんだが。」
「!? どういうことなのか僕にはさっぱり……」
「あら?もしかして拓翔の勘違いかしら? 一緒に住んでる王子様と結婚するからどうのって言っていたの。ごめんなさいね。ふふっ。本当に王子様みたいだから色々と勘違いしちゃったのね。」
の母親がすぐフォローに回ってくれた。