第9章 記憶
「仰るとおりです……ありがとうございます。すみませんが、さんの様子を……」
『あぁ。分かっている。すぐ君に連絡するからあまり心配せずに待っていてくれ。じゃあ、すまないが急ぐから失礼するよ。』
「はい。よろしくお願いします。」
――――
さすが、の親だ。
こんな状況でも娘の生存を強く信じている。
君のお父さんは、僕よりも君にそっくりだよ。
何が、“親に似た人を選ぶ”だ。
芯の強さが、まんま君じゃないか。
、君に会いたい―――
バシン!っと自分の頬を両手でたたき、気持ちを切り替える。
「今は、自分がやるべきことをしよう。」
*
翌日の午後、ふたたびの父親から着信があった。
急いで電話にでる。
『降谷くんか?遅くなってすまないね。』
「いえ。それでさんは…!」
『まずは、生きている。』
「……っ!」
―――生きてる!
『午前中には目も覚ましたんだ。』
なんだ?妙な伝え方を……怪我がひどいのか?
「あの、さんの様子は……」
『それがな……どうやら記憶喪失のようだ。親のことも、自分のこともわかっていない。全身の怪我はそこまで酷くはないが、頭を打ったんだろう。記憶喪失は一時的なものかも知れないが、記憶については治療のしようがなく様子を見るしかないようだ。』
―――なんだ?なんて言った?
耳が遠くなったような感覚で言葉が入ってこない……
駄目だ!しっかりしろ!!
「わかりました。さんは帰国できそうな状態ですか?」
『……ふっ。記憶がないと言うと君が倒れるんじゃないかと心配したが、もう大丈夫なようだな。』
「おかげさまで、どうにか持ち直せました。」
『退院は今日だ。医師と相談したが脳の外傷もなさうで体調が問題なければフライトも許可がでている。明日の便で娘と帰国する予定だ。』
「わかりました。時間がわかれば教えてください。空港まで迎えに行きます。」
『助かるよ。また連絡する。』
―――記憶喪失?
、会いたい。
早く戻ってきてくれ―――