第8章 お見合い
「……今日の、お見合いの人が… 子どものころたまに遊んでた子で、会社が近いからまたご飯でも行こうって、連絡先を交換することになって……」
「うん…」
「社交辞令だったらいいけど、連絡がきたら何て言って断ろうとか、お見合いもどう断ったらいいんだろうとか、相手が悪いわけじゃなくていい人だから傷付けない言い方しないと、って思ってたら考えるのが急にしんどくなって……」
「うん。」
「急に、スマホ買い替えて番号も変えたくなって、スマホ自体がうとましくなった。」
「極端だな。」
「うん、わかってる。くだらなくてごめん…。」
「くだらないなんて思わないさ。は、やさしすぎる。相手の心を気にしすぎて、一緒になって苦しんでる。まぁ、そのやさしさに甘えきってる僕が言うのもなんだけど。」
「やさしくない!こんなのっ!やさしさじゃない!自分勝手なことしてる自分がっ!一番!嫌……っ!嫌になる…っ!うぅ………」
また涙が溢れた。やっぱり今日はだめだ。本当に変だ。こんなこと今までなかった。
零くんは私をそっと抱き寄せ、頭を撫でた。もう大丈夫だと言うように。
「僕は、が自分勝手でも、やさしくなくても、君の存在自体が好きだ。非科学的だけれど、魂に惹かれているのかも知れない。
例えが自分を嫌っていても、僕はその全てが愛おしい。僕の大事なが苦しむなら、苦しみの全てを僕に投げ出してほしい。嫌なことも、辛いことも、僕がまとめて背負うから。」
「…………投げ出さない。」
「うん。それでもいい。は、僕のものだから。苦しいことを投げ出さなくても、どちらにしても、“僕の”の一部なら、全てが僕のもので、僕が背負える。」
「…………すごい持論……」
「こうやって、の情緒を乱してるのは、きっと僕だ。あんなに安定していたをこんなふうにできるのは、世界中で僕だけだ。」
「…………すごい自信……」
「僕のだ。僕だけの。」