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ずっと前から (降谷零/R18)

第8章 お見合い


「…。」

名前を呼ばれた。
ただ、それだけだった。
なのに、声のトーンが予想と違ったから。
穏やかだったから、

「うぅ……っ」

泣いてしまった。オーバーフローは冗談じゃなくて本当だったようだ。

「もう、疲れた……」

と零してしまった。
零くんは、何も言わず背中を撫でてくれて、「部屋に入ろう」とだけ言った。



部屋に入ると、リビングは電気もテレビの動画もつけっぱなしだった。慌てて部屋を出たわけでもないのに。
本当にぼんやりしていたんだな…と実感した。

零くんがテレビを消して、私にソファへ座るよう促した。

いつものように質問攻めしたいはずなのに、私の様子がいつもと違いすぎて、訊きかねているんだろう。

困らせちゃだめだ。立ち直らないと!
と、心の中で自分を鼓舞してみるけど、今日はもう無理みたい。よし、あきらめよ。赤井さんにも言われたしそうしよ!ひらきなおった。

ひらきなおったら急に声が出しやすくなった。

「零くん、ごめんね。急に泣いて。驚いたよね。」

泣いたのは、零くんが怖かったからじゃない。疲れたからじゃない。
たぶん、疲れきったところで零くんを見て、声をきいて、安心して気が抜けたから。


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