第8章 お見合い
マンションまで何気ない会話をしながら二人で歩いた。
エントランスに近付くと、誰か立ってる?こんな時間に何してるんだろう。赤井さんに送ってもらってよかった。一人だと怖い。
「君の恋人がお待ちかねのようだな。」
「え?」
「待っているのは安室君だろう?」
「え?ちょっ、ちょっと視力すごすぎません!?まだ判別できてないですっ!」
「彼が嫉妬するだろうから、ここで離れた方がよさそうだな。いや、もう手遅れか。」
「え!?」
人影が…近付いてきた?いや、何もやましいことはない。なのになぜか動揺してしまう。
「あ、あ、赤井さん!見捨てないでください!」
「ふっ。余計にこじれるだろう?」
「何もこじれません!!」
「なぜそんなに怖がっている?」
「スマホを置いて出てきてしまいました!GPSが…!きっと連絡もきてます!音沙汰がないからここにきたのかも知れません…!」
「GPSまで付けられているのか。すごいな。」
「ど、どうしよう!」
慌ててしまい、必死で赤井さんにすがる。なぜか体が震えてきた。こわい!
「落ち着け。君は何もしていない。俺も何もしていない。」
「あ、はい。そうです。」
「じゃあ、いいだろう。」
「え?いいんですか?でもスマホを置いてきてしまって…。」
「それも、君の自由だ。」
「え?あ、まぁ、そうです…か?」
「君はただ、全てを手放してリフレッシュしたかった。そうだろう?」
「そう…です。」
「それを恋人だからといって咎める権利はない。君の人生だ。自由に生きろと言っただろう。」
「は…はい。」
「ふっ。君は安室君より、俺の方が相性がいいと思うが。」
「え?それは、いいえ?」
「俺が説明すると彼は怒るだろう?君の口から言った方がいい。彼はただ、君が心配でここへ来ただけだ。」
「あ…そう…その通りです…。」