第2章 君を心配するあまり
車に乗り込んでから、零くんはほとんど喋らなかった。
車内に流れる静かな音楽。
隣の零をちらりと見る。
ハンドルを握る手。
綺麗な横顔。
真っ直ぐ前を見る目。
本当にかっこいいな……
でも、怒っているようにも見える。
「零くん……」
「ん?」
「……怒ってる?」
「怒ってない」
淡白な返事で、それ以上、会話は続かなかった。
怒っていないと言うわりには、明らかにいつもと違う。
でも、追及もできない雰囲気。
少ししてから
「……もっと気をつけてくれ」
突然、零くんが言った。
「え……?」
「笑いかけるだけでも、男は自分に気があるって勘違いするものなんだ。」
ショックで一瞬固まった。
「あ……うん、ごめん。」
小さな声でそれだけ言って、窓の外を見る。
零くんはもう何も言わなかった。
ほとんど喋らず、マンションに着いた。