第8章 お見合い
「また、偶然ですね。二度も助けてくれてありがとうございます。」
「大丈夫か、顔色が悪いようだが。」
「あ、大丈夫です!ぼんやりしていただけで体調はぜんぜん!」
「随分綺麗にしているが、どこか出かけるのか?」
「え? あ、しまった…着替えてなかった。」
出かけたときのまま、上品なワンピースにヒールを履いていた。
なのに手にはキーケースのみをもってふら付く怪しい女。なんだこれ!
赤井さんは私の顔をじっと見て、
「ちょっと時間ができたんだ。少し付き合ってくれないか?」
「え?どこに…?」
「お茶でもしよう。君も暇だろう?」
「え、暇というわけでは…。いえ、暇ですね。よく考えるとすごく暇でした。」
赤井さんは「何だそれは」と言いながらクククっと笑っている。
何も考えずに気楽に誰かと喋りたいと思っていたから、気を遣いすぎる必要がない赤井さんだとすごく助かる。
あまり通らない道を歩いて数分程度のところにある、西洋風の喫茶店に入った。
お店の見た目どおり紅茶がおいしいというので、それを注文した。
「レトロでかわいいお店。赤井さんの雰囲気に似合いますね。そういえば赤井さんはハーフですか?綺麗な顔立ちで……あ!すみません、頭が回ってなくて、いきなりこんなこと聞いてしまうなんて!」
「ふっ。気にしなくていいそのくらい。俺はハーフだ。父が日本人で母はイギリス人。君の彼もハーフじゃないのか?」
「え?彼?あ、安室さん…そうですね、きっと、そうだと…思います。わからないけど。」
「知らないのか?」
「聞いたことがありません。自分のことはほとんど話さない人なので…。」
「そうか、立場上仕方がないのかも知れないな。
」
「・・・そう、ですね。」