【ごちゃまぜ】SHORT STORY【ヒロアカ】【鬼滅の刃】
第10章 More 〜8年後、恋に落ちる5秒前〜
【 05 】
からりと鳴った氷の音が、居酒屋の喧騒の中に溶けて消える。
「いやー、また振られちゃってさ! 付き合ってもすぐ『重い』とか言われるの、なんでかなぁ?」
酔いと笑いに任せておどけてみせる私に、座敷のテーブルを囲む男子たちが一斉に反応した。
「えー!? またかよ! お前めっちゃ良い奴なのに、男を見る目がなさすぎるって!」
「相手の男、何考えてんだ! 男気ねえな!」
上鳴と切島が身を乗り出して憤慨し、隣に座るデクが苦笑いを浮かべながら「う、うん……でも、相手を気遣いすぎて自分を後回しにしがちなところはあるかも」とフォローを入れる。
向かいの轟も、黙って焼き鳥を口に運びながら「そうだな。お前は悪くない」と短く頷いた。
みんなの優しさに救われる思いで、へらりと笑った。
……その時だった。
カトン、と。
テーブルの上に、グラスが静かに置かれた。
「……お前、またろくに好きでもねぇ奴の誘いに乗ったろ」
低く落ち着いた声。
居酒屋の暖色の照明を背に、爆豪勝己が冷めた目で見下ろしていた。学生時代のような激しい怒鳴り声ではない。けれど、だからこそ刺さる圧倒的な静けさだった。
「爆豪、言い方……」
切島が制しようとするのを、爆豪は手で制した。
「相手に合わせりゃ好きになってもらえると思って、ヘラヘラ流されて……テメェを安売りすんのも大概にしろ」
何も言い返せない。図星だった。
自分を大切に扱ってくれない男に縋りついていた情けなさと、最も見せたくない部分を暴かれたショックで、視界がじんわりと滲む。
「……ちょっと、トイレ」
逃げるように席を立った。