【ごちゃまぜ】SHORT STORY【ヒロアカ】【鬼滅の刃】
第11章 ヒーローの、甘え方。
【 03 】
脱衣場でドライヤーのスイッチを切った瞬間、背後の扉が開いて、まだ風呂上がりの湿気を纏った焦凍が入ってきた。
「焦凍?……きゃっ」
声をかける間もなく、濡れた髪のまま額を私の首筋にぐっと押しつけられる。バスタオル一枚を腰に巻いた彼の剥き出しの肩はひんやりと冷たくて、触れた肌の寒暖差に思わず肩が跳ねた。
「……焦凍、髪乾かしてないでしょ。風邪引くよ」
「……あいつと、何話してた」
注意を促す言葉を完全に無視して、焦凍はぼそりと呟いた。脱衣場の鏡越しに視線が合わさる。オッドアイの綺麗な瞳が、珍しくどこか落ち着かない様子で揺れている。
今日、遠征先で一緒になった別の男性ヒーローと、私が長く立ち話していた時のことだ。
「……仕事の話だよ。焦凍が気にするようなことじゃないよ」
「気にしてる」
きっぱりと、一切の誤魔化しもなく言い切られた。
焦凍は私の腕を掴むと、脱衣場の狭い壁際へとじりじり追い詰めてくる。背中が壁に当たると、そのまま左右から挟み込むように両手を壁につかれた。逃げ場が完全に塞がれる。
「……胸のところがずっとおかしい。お前があいつと笑ってんの見たら、ここがやけに冷たくなって、イライラした」
かっこつける風でもなく、壁から片手を離して自分の胸元に当て、本気で理由が分からないといった風に眉を寄せる。
「……嫉妬か、これ」
「焦凍……」
「……嫌だ、これ。落ち着かねぇ」
焦凍はそのまま体をすり寄せ、冷えていた胸板を私の肌にぴったりと押しあててきた。肌から直に伝わってくる彼の速い心音と、首筋にかかる熱い吐息。
「……が温めろ。あいつのこと忘れるまで、ここから出さねぇ」
飾り気のない素直すぎる不満と、プロヒーローの体躯で逃げ道を塞いで甘えてくる圧倒的な密着感に、胸が甘く締め付けられた。