【ごちゃまぜ】SHORT STORY【ヒロアカ】【鬼滅の刃】
第10章 More 〜8年後、恋に落ちる5秒前〜
***
居酒屋の裏口に抜ける、夜風の冷たい路地裏。
誰もいない路地裏で壁に背中を預け、泣きそうになるのを必死で耐えていると、不意に視界の横から温かい缶お茶が突き出された。
「……あんな言い方、しなくたっていいじゃん。私だって頑張ってるのに」
受け取ると、じんわりと手のひらが温まる。爆豪は隣に並び、ポケットに手を突っ込んだまま静かに息を吐いた。
「『好きになろうとする』時点で、もう間違ってんだよ」
彼は夜空を見上げたまま、深く低い声で言葉を繋ぐ。
「……お前がどれだけの価値がある女か、俺はずっと見てきて知ってんだよ」
ハッとして彼を見上げる。
夜の暗がりに浮かび上がる横顔は、プロヒーローとしての自信と、聞いたこともないほど甘い熱を帯びていた。
ゆっくりと顔をこちらに向けた爆豪と、目が合う。
逃げ場をなくすような、まっすぐな眼差し。
「だから、くだらねぇ男に安売りすんな。……次誰かと付き合うなら、テメェを一番に扱う覚悟がある奴にしろ」
店内のざわめきが、遠くに聞こえる。
心臓の音が、耳元でうるさいほど跳ね上がった。
「―――それができる奴がいねぇなら、俺がいる」