【ごちゃまぜ】SHORT STORY【ヒロアカ】【鬼滅の刃】
第5章 先輩の1/3になりまして。【 緑谷出久 】
なかなかピンとくる子がいなくて、溜息を吐いた、その時―――
「…………あ」
人波に流されそうになりながら、緊張した面持ちでキョロキョロしている男の子を見つけた。
緑色のフワフワした髪の毛。
くりっとした大きな目に、頬のそばかす。
身長は160センチ半ばくらいだろうか。
たまらなく守ってあげたくなるような、いじめたくなるような愛らしさを醸し出している。
「………見つけた」
それが、と緑谷出久との出会いだった。
***
ターゲットを定めたは、さっそく行動を開始した。
と言っても、いきなり警戒されるような誘い方はしない。
こういう真面目でウブそうなタイプは、警戒心を解きながらじわじわ距離を詰め、反応を見極めるのが鉄則だ。
は廊下で、いかにも「たまたま通りかかった親切な先輩」の顔を作って待機する。
案の定、周囲の雰囲気に呑まれながら、おどおどと歩いてくる緑色の頭が見えた。
配られた膨大な資料を抱え、すっかりいっぱいいっぱいになっている。
(よし、来た)
すれ違いざま、はわざと少しだけ肩をかすめさせた。
「あっ……!」
バランスを崩した出久の手から、抱えていた大量のプリントがパラパラと廊下に散らばる。
「ご、ごめんなさい! 僕、前をよく見てなくて……っ!」
出久が弾かれたように反応し、素早い動きでしゃがみ込んで拾い集め始めた。
「ううん、私こそごめんね。手伝うよ」
も隣にしゃがみ込み、散らばったプリントを拾って彼に差し出す。
その際、すれすれで指先が触れ合うように仕掛けた。
「あ、ありがとうございます……! 助かりました!」
指先がかすめた瞬間、出久の肩がびくっと跳ねる。
受け取りながら顔を上げた彼の視線が、の制服の胸元――2年生を示す学年章に留まった。