【ブルーロック】GAGAMARU symphony
第4章 野生児の生態
「我牙丸くん、ご飯食べる前と食べた後は手を洗おうね?」
私が笑顔そのままで言えば
「お?」
キョトン顔の我牙丸くん。
『お?』じゃないんだゎ。
そこだけは譲らないぞ。
「ほら、小学校で習わなかった?手にはばい菌がいっぱいついてて、食べ物と一緒に身体の中に入ってきてお腹が痛くなっちゃうよーって」
「俺、今まで腹痛くなったことないぞ?」
でしょうね!
「今まではそうだったかもだけど!これからならないかはわからないじゃん?私が心配だから、洗おう!」
もう自分で自分の顔がちゃんと笑顔になっているかわからないほど口元の引きつりを感じる。
そのせいかどうかわからないけど我牙丸くんは
「あー、わかったー」
と未だに理解していないような返事をしてきた。
「あと、トイレの後と外から戻った時も……いや、とりあえずご飯の前後はやろう!」
「おー」
もう完全に生返事の我牙丸くんはボンヤリと目の前に生える木々を見ていた。
本当にわかってくれたかどうかはわからないけど、とりあえず私は私のお弁当を食べなければならない。
そこからは特に話をすることもなく私も青々と茂る草木を眺めながらただ黙々と食べ続けた。
不思議と話さなきゃという気持ちや沈黙への気まずさはなかった。
我牙丸くんは空気のように当たり前のようにそこにいる。
全然違和感もなく。
なんかそれは、私がなりたかったもののよう。
どうしたらこんなに自然に溶け込めるんだろう。
羨ましいなぁ。
そんなことを考えていたら、我牙丸くんから遅れること10分ほどかかって食べ終わった。
自分のお弁当を片付け、まだ我牙丸くんの足の上に乗っているお弁当箱も回収してバッグにしまった。
まだ予鈴までは少し時間があったけど、我牙丸くんがいるのにイヤホンを耳に入れるわけにもいかないから音楽を聴くこともできないので、正直ここでの時間も持て余しそうだった。
「少し早いけどもう戻ろうか」
我牙丸くんに手も洗ってもらいたいし。
私が立ち上がってスカートの裾をパンパンと叩くのを見て、我牙丸くんも
「おー、戻るかー」
と立ち上がって伸びをした。
「あ、そうだ。これも返そうと思ってたんだった」
私は袋にまとめたCDを渡した。
我牙丸くんは袋の中身をチラリと見ると
「おー」
とだけ言って、袋をカバンに突っ込んだ。
そして二人で校舎に向かう。
