【ブルーロック】GAGAMARU symphony
第4章 野生児の生態
私がそんな思考の新境地に行き着いた頃には、我牙丸くんのお弁当箱は空になっていた。
あぁ、ダメだ…
どうしても気になることが一つだけ浮上してしまった。
訊かずにはいられない…
「…我牙丸くん…その手ってどうするの…?」
我牙丸くんの両手、主に指先にはベッタリとお弁当のおかずの汁やらクズやらが付いている。
我牙丸くんがハンカチやティッシュを持ち歩いているとは思えない。
じゃあ、その手はどうなるのか…?
「あー」
我牙丸くんは気にしてなかったというふうに自分の汚れた指を見る。
そして、何も言わず次の瞬間には右の親指から順番にチュッポン、チュッポンとしゃぶっていた。
「〜〜〜〜っ!?」
いや、指に付いた残飯は取れてるかもだけどっ!
我牙丸くんは右手の五本指をしゃぶり終えてちゃんとキレイになっているか再度確認してから、今度は左手を同じようにキレイにした。
マジかー。
いや、マジかー。
もう次も訊くしかないじゃん…
「…我牙丸くん、その手、今度はどうするの…?」
残飯の代わりに唾液まみれになったその指の行方は知っておかなければいけない。
今後のためにも。
「?」
我牙丸くんは、なんでそんなこと訊くんだ?と不思議そうな目をしてから自分の両手を見つめてから、ズボンの側面に手を伸ばした。
あ、やっぱり?
そうなるよね!?
「っ我牙丸くん!私、ウェットティッシュ持ってるから使う?いや、使って!」
言いながらバババッと三枚目くらい一気に引き出し、我牙丸くんの左手に握らせる。
もっと早くこうしておくべきだった…
ただ怖いもの見たさの好奇心が勝ってしまった。
「いやー」
「使って?」
断られそうな空気を無理矢理浮かべた笑顔で押し切った。
我牙丸くんは「???」となりながらもサラサラと手を拭く。
「いや、我牙丸くん、もっとちゃんと拭こうか!」
私は思わず我牙丸くんの手首をガシッと掴んで、指を一本ずつギュッギュッと拭いていってしまった。
だって、この指で私のイヤホン触って、私のマンガ本読んで、私を掴み上げて立たせて、私の足から砂を払ったと考えると…
いや、考えるな私。
考えたら明日から学校に来れなくなる…
私の心の内など知らない我牙丸くんは
「おー、透、ありがと」
って律儀にお礼を言う。
いいんだよ、お礼なんて。
これは私の為だから…
