【ブルーロック】GAGAMARU symphony
第4章 野生児の生態
我牙丸くんに悪気がないのは知ってる。
でも悪びれない様子と人をまた『小さい』扱いして…少しだけイラッとした。
「…我牙丸くんさぁ、私のこと『小さい』『小さい』言って小動物か何かみたいに言うけどさぁ…今のは小動物虐待だからね!小さい生き物には小さい生き物への接し方ってものがあるでしょ!」
私みたいな小動物がやったところで怖くないんだろうけど、引き続き精一杯睨みを効かせながら言ってやった。
ただ登校のピークタイムで周りに人がたくさんいる。
公衆の面前だから声は少し抑えた。
このくらい言ったところで我牙丸くんだったらよくて「おー、すまん」くらいで済ませるんだと思った。
けど、違った。
我牙丸くんの顔は見る見る間に青ざめていって、オドオドと明らかに狼狽し始めた。
え…?
私が呆気に取られていると我牙丸くんは私の脇をガッと掴んでそのまま引き上げて立たせて、我牙丸くんはしゃがんで私の足についた砂を手で払った。
「あ…」
我牙丸くんが何かに気付いたように私の足を見て固まった。
私も我牙丸くんの視線を辿って足を見てみると、膝に少しだけ、本当にちょっぴりだけすり傷があって、血が滲んでいた。
「あ…あ…」
あわあわと大きく見開いたどんぐり眼を私の膝と私の目を何度も往復させた。
で、唇をわなわなさせながら何を言うのかと思ったら。
「……舐めとく?」
いや、なんでこのくらいの傷でこんな公衆の面前で男子に膝を舐められなきゃいけないの!?
そんなことしたら今日の昼までに変な噂が校内を駆け回るゎ!
「…大丈夫。保健室行くから」
「え…じゃあ俺が運ぶ」
「いや、歩けるから。自分で行く」
「あ…」
ちょうどその時校庭の方から
「おーい、我牙丸!何やってんだー!早く着替えないと遅刻すっぞー!」
我牙丸くんを呼ぶ声が聞こえた。
そういえば我牙丸くんはサッカー部のジャージを着ている。
察するに朝練か何かしてて私を見つけたからこっち来た、くらいのノリだったのかもしれない。
「一人で行けるから。我牙丸くんは着替えてきなよ。呼ばれてるし」
「でも…」
「大丈夫だから。行って」
モタモタしてたら遅刻する。
私がきっぱりそう言ってようやく我牙丸くんは立ち上がって、後ろ髪を引かれるように何度も私に視線を送りながら去っていった。
それを見送ってから私は急いで保健室に向かった。
