【ブルーロック】GAGAMARU symphony
第3章 近くの野生児
「学校の中ではどこ行ったんだ?」
あ、まだこの話題続くんだ…
常に放課後がある人にとったら、初めて放課後を目的もなく過ごした人間の行動が気になるものなんだろうか?
「学校の中を一通り歩いて…いつもの犬走りにも行って…あ、あそこ、放課後は吹奏楽部とか合唱部とかで結構賑やかで…昼休みみたいに静かじゃなかったよ」
「へぇ、そうか」
「あとは図書室に行って漫画読んで…」
「マンガ?」
ずっと感情の乗らない返事を続けていたのに急に歩みを止めてこっちを振り向いて食いついてきた。
心做しかどんぐり眼が輝いているような気がする。
「え…うん」
「図書室にマンガ、あるのか?」
「あー、うん。手塚治虫の『火の鳥』とか、戦争の『はだしのゲン』とかなら」
「ふーん、知らんかったー」
ようやく再び歩き始めた我牙丸くんの「透はマンガ読むのか?」といつもの平坦な物言いの中に少しだけ興味を滲ませたような色を感じる。
「んー、それなり…かな?」
「俺はめちゃくちゃ読む」
「へー、そうなんだ」
「俺、人の気持ちとかわからないからマンガで勉強してる」
別に自分を卑下している様子もなく、当たり前のことを話すみたいにいう我牙丸くんに私は
「そうなんだ…」
としか言えなかった。
我牙丸くん、変わっているなとは思っていたけど、自分でもそういう自覚、あるんだ。
そういう自分を自覚してて、ちゃんと知らないものを知ろうとしてる。
けど、マンガをめちゃくちゃ読んで勉強してるのに対人距離感こんななんだ…
その勉強法、合っているんだろうか…
「好きなマンガもたくさんある。『彼岸島』『NARUTO』『BASTARD!!』…」
どんどんマンガのタイトルを羅列していく。
私が実際に読んだことがあるのもあるし、名前だけ知っているのもあるし、初耳のものもある。
あまりの多さに私は途中から相槌するのをやめた。
それでも我牙丸くんの口からはマンガのタイトルが止まらない。
「『ドロヘドロ』『ダンダダン』…あとそれから…」
「あ、うん、わかった。我牙丸くんがマンガ大好きなのはわかった」
もう堪らず片手を上げて我牙丸くんを制してしまった。
それでようやく我牙丸くんのお経のように続いていたマンガのタイトルは止まり、「うん、好きだ」と私を見る我牙丸くんのどんぐり眼は明らかに輝いていた。
