【ブルーロック】GAGAMARU symphony
第3章 近くの野生児
「透は今まで何してたんだ?ずっと教室?」
部活に行く我牙丸くんを教室で見送って、部活が終わった我牙丸くんが教室に迎えに来たんだから我牙丸くんからしてみたら私は数時間ずっと教室にいたように感じたんだろうな。
「…放課後の学校を探検してた」
「そうか。それ、面白いのか?」
「……」
きっと放課後という時間を当たり前に過ごしている我牙丸くんにとって不思議なことなんだろうな。
そうじゃない人間には放課後の学校が昼間とは別世界にすら感じるってことをきっと知らない。
きっとわからない。
「?」
しばらく黙ったままの私を我牙丸くんが不思議そうに振り向く。
「…面白かったよ。私、初めて放課後の学校歩いた」
いつもの私なら『きっとわからない』で口を閉ざしてた。
でも、不思議と今日は思ったことが口を出た。
「へぇ。透、いつもすぐ帰るもんなー」
「うん、だって私、学校にいてもやることないもん。放課後って部活とか委員会とか、やることある人しかいないんだよ。だから誰も私のことなんて見てなかった…なんか透明人間になったみたいで面白かったよ」
「……」
それまで「おー」とか「ふーん」とか適当な感じで相槌していた我牙丸くんからその時は何も返ってこなかった。
「我牙丸くん?」
隣のかなり上にある我牙丸くんのどんぐり眼を仰ぎ見る。
いつも私を見つめるどんぐり眼はその時ばかりは真っ直ぐ前を見据えたまま、我牙丸くんは何かを考えているようだった。
そして、ポツリと
「透は透明人間じゃない」
って言った。
「え…?」
透明人間なんて言葉を真に受けて考え込んでいたんだろうか?
我牙丸くんならそれもあり得そうで笑いながら訂正しようとした。
けど、その後すぐに我牙丸くんが
「俺はすぐ見つけた」
って続けたから言うタイミングを逃してしまった。
「透はちゃんと見えてる」
今度は真っ直ぐなどんぐり眼で私の目を見つめながら。
その目に何だか圧倒されて一瞬言葉が出てこなかった。
「…もう、透明人間なんて例えに決まってるじゃん!我牙丸くんは言葉そのまま受け取りすぎ!」
そうして1テンポも2テンポも遅れてようやく当初予定していた訂正文を口にすることができた。
我牙丸くんは特に気にした様子もなく、「あー、そうかー」ってまた前を向いた。