【ブルーロック】GAGAMARU symphony
第3章 近くの野生児

気付けば放課後の学校に残るなんて入学して初めてのことだった。
お母さんが心配しないように一応『今日はちょっと学校に残っていくから遅くなります』って連絡を入れた。
初めて放課後の校舎を歩き回ってみる。
人が少なくなった学校は昼間よりもかなり静かで、みんな目的がある人しかいないから誰も私なんて見ていなくて、意識しなくても私は透明人間みたいだった。
イヤホンなんて必要ない。
校舎内を歩いているだけ少しドキドキする。
いつもお世話になってる特別教室棟の犬走りにも行ってみた。
放課後は吹奏楽部とか合唱部とかの練習があるから昼間とは打って変わって賑やかだった。
ベランダにも人が出てたりするからここに佇んでいたらいろいろな人に見つかりそう。
やっぱりここに来るのは昼休みに限る。
それがわかっただけでも大収穫。
そうして一通り校舎内を歩き回った後で最後に行き着いたのは図書室だった。
図書室にもほとんど人はいなくて、貸し出し係をやっている図書委員会の人もカウンターの向こうで何やら委員会のこととは関係のないことをやっていた。
私が入っていってもチラリと見ただけ。
今度は本棚の間を歩き回る。
普段、本はあまり読まないけど見たことがある本を見つけたので手に取る。
手塚治虫の『火の鳥』。
漫画なのにどこの学校の図書室にもあるんじゃないかっていうくらいの定番。
どの巻から読んでも読めるし、時間を潰すにはちょうどいい。
カウンターから見えない窓際の席に座って読む。
イヤホンをつけていないからどこかの部活の掛け声が遠くから聞こえる。
そういえば我牙丸くんは何部なんだろう?
身長が高いからバスケ部とかバレー部とかなのかな?
さすがに体育館に見に行く勇気はない。
しばらく『火の鳥』を流し見していると図書室の閉室を知らせるアナウンスが流れる。
我牙丸くんからの連絡はまだない。
でも、ここにいるわけにもいかないから本を元の場所に戻して図書室を後にする。
こうなってくると居場所がなくて、結局は教室に戻ることにした。
教室にはもう誰もいなくて、それでもいつも通りに自分の席に座るといつも通り耳にイヤホンを入れた。
夕焼けまではいかないけれど、傾いた日が差す教室はいつもの色じゃなくて、そこに一人は何だか少しだけ寂しくて。
我牙丸くんから連絡が来るはずのスマホを握りしめながら、目を閉ざすように机に伏した。
